朝井リョウのベストセラー小説が原作、出演は稲垣吾郎、新垣結衣です。
誰にも理解されない事で苦悩してる人々を描いた物語。死にたいと思いつつ、誰かと繋がりたいとも思ってしまう本音部分に共感出来る作品でした。
ネットフリックスで鑑賞、アマゾンプライムビデオでは有料です。
2023年制作・日本・G・134分
配給 ビターズ・エンド
監督 岸善幸
脚本 港岳彦
原作 朝井リョウ
ネタバレ度40%(後半ネタバレ度90%)
あらすじ
広島で契約社員として働く桐生夏月(新垣結衣)は実家で暮らしている。
中学の時、転校した佐々木佳道(磯村勇斗)が地元に戻って来たのを知り再会。
大学のダンスサークルに所属する諸橋大也(佐藤寛太)は、準ミスターに選ばれるが心を閉ざす青年だった。
男性が苦手な神戸ハ重子(東野絢香)は、諸橋大也には不安を感じず、話しかける。
検事の寺井啓喜(稲垣吾郎)は、不登校の息子の育て方で妻と喧嘩する日々を過ごしていた。
もっと知りたい方
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90%のネタバレ感想
arasuji.hateblo.jp
登場人物が多いのですが基本、稲垣吾郎が演じる寺井以外は同じタイプの人間だと感じました。
共感することが出来なくても、「あ、わかる」「納得できるかも」と感じることが「可能」なタイプという意味です。
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桐生夏月、佐々木佳道は同じ考え、「死ねないから今、仕方なく生きている」です。
再会後、2人は同じ考えと知り結婚を決意します。
一緒に暮らすとうより、同居という感じで部屋も別です。
この世界は「明日も生きる」人の為のものばかりであり、「生きにくい」と同じ考えの桐生夏月と佐々木佳道。
次第に2人は「離れたくない」と、お互いを必要とします。
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2人は子供が水遊びをする動画を見て、同じ人物がコメントを残してるのに気がつきます。
佐々木佳道はコメントを残しているSATORUFUJIWARAに親近感を感じ、メールして親しくなります。
自分と同じ匂いがする、というか同じ水フェチだと感じたからです。
メールする中、同じように水が好きだという男性と3人で会って動画を作ろう・・ということに。
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ある日、街で桐生夏月と出会う寺井は立ち話で、妻は子供を連れて実家に・・、と告げます。
言葉から「この人の夫婦関係は・・」と感じた桐生夏月でしょう。
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神戸ハ重子が勇気を出して、諸橋大也に話しかけるシーンは緊張でした。
最初、諸橋大也は彼女を鬱陶しいと思っていたのですが・・話を聞いているうち理解します。
神戸ハ重子も男性のトラウマがあり、生きにくい世界の中でやっと、「自分に正直でいられる」相手が見つかったのです。
それを声に出して、説明するのは物凄く勇気がいること。
「繋がりたい」って思いからでしょうか。
諸橋大也は彼女の思いに感謝してお礼を告げます。彼女は彼が「1人じゃない」ことに安堵、納得して去ります。
諸橋大也は動画サイトで水フェチ仲間が出来たので、彼女に1人ではないと告げたのです。
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小学校の講師/矢田部陽平(岩瀬亮)が逮捕され、パソコンの中の画像、動画で、児童買春をしていたことが判明。
彼は画像を水フェチ仲間の佐々木佳道と諸橋大也にも送っていました。
その後、2人も逮捕されてしまいます。
矢田部は水フェチというより、水遊びをする子供が目的だったのでしょう。
けれど、子供ではなくて「水」を見ることが好きな佐々木佳道と諸橋大也は疑われてしまったのです。
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佐々木佳道、諸橋大也らの取り調べをする寺井は「水が好き」と、彼らの言葉を笑って理解出来ません。
「検事さんは明日、生きていたい人ですか?僕は・・みなさんの世界で怪しまれないように・・自分がどんな人間かバレないように・・明日、生きたい人のふりをして生きて来ました」
佐々木佳道の言葉を理解出来ない寺井。
佐々木佳道が逮捕されたと知り、警察で取り調べをしている寺井と会う桐生夏月。
「夫は加害者ではありません」
水が好きなのか?と、追求する寺井に呆れつつ(この人には理解出来ない、と)
「自分がどういう人間か人に説明できなくて・・息が出来なくなったことってありますか?」
毅然とした桐生夏月に言葉を失う寺井。
人に理解してもらえない者同士、必死で生きている、と。
ここで桐生夏月は寺井の家族が戻りましたか?と聞きます。
「この人じゃ・・きっと奥さんも出ていくはず」って思ったんでしょうね。
驚き、戸惑いながらも、調停中、と答える寺井でした。
最後に桐生夏月は「いなくならないから」と、佐々木佳道に伝えようとしていました。あのシーンは印象的です。
明日も生きているの?と、自問自答しながらの彼女の人生、それがやっと「生きていても良いんだ」と、佐々木佳道の存在で、自分の場所を見つけた彼女だったから。
2人には幸せになってほしい、とも感じたシーンでした。
でも、寺井はきっと離婚決定で1人になってしまうんだろうな、とも。
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大晦日の夜、実家の両親の態度にブチギレして家を飛び出す桐生夏月の思いはすごくわかりますね。
親に申し訳ないけれど、あれは確かに「うざい」です。
それよりも強く感じたのは、職場の同僚が彼女に話しかけるシーンでした。
妊娠中の同僚が彼女に話しかけるのですが・・キレて本音をぶつける桐生夏月には笑ってしまいました。
ああいうタイプの人は私も苦手だからです。
彼女は悪くないし、同僚に話しかけるのは「気遣い」でもあり「普通」だと思うのだけど。
合わないってことなのでしょう。
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水フェチって初めて知ったのですけど、特殊性癖ってことなんでしょうね。
理解されにくいかもしれないけれど、違法でなく人に迷惑をかけなければ・・と感じました。
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エリートである寺井は、妻が不登校の息子を必死で守る感覚が理解出来なかったようです。
(YouTuberとして動画を出す息子)
寺井の考えは正しくて、検事の仕事をしていて世の中の「犯罪」「理不尽」を肌で感じている彼は恐怖だったのでしょう。
自分の息子を守りたいのに・・妻は世間を理解しないって。
自分が知らないこと、信じないことは「あり得ない」で片付けてしまう寺井は「普通」であると感じました。
でも、多様性を受け入れることも必要なのだと強く感じた興味深い映画でした。
最後まで読んでくださった方、ありがとうございました。
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