同性愛で苦悩する男子、BL好きを隠している女子の青春を丁寧に描いた素晴らしい作品。
原作は浅原ナオトの青春恋愛小説「彼女が好きなものはホモであって僕ではない」
2021年製作・日本・PG12・121分
ネタバレ度80%くらい
ストーリー
高校生・安藤純(神尾楓珠)はゲイであることを隠して生きてきた。
ある日、書店でクラスメイト・三浦紗枝(山田杏奈)がBL本を買ってるのに遭遇。
「誰にも言わないで」と、言う紗枝。
純には妻子ある誠(今井翼)という恋人がいた。
こんな内容です。
ゲイであることを誰にも言えず、苦しんでいる純。
腐女子であることを隠していた紗枝との恋愛と友情の物語です。
ゲイである自分を「生まれてこない方が良かった」と、まで思い詰め悩んでいる純。
母・みづき(山口紗弥加)にも隠しています。
「ふつう」に女性と結婚、子供を作りいずれ孫も・・という憧れもあります。
友人とダブルデートをしたり、純、紗枝の関係は急接近。勉強を教えてくれる純に「家で」と、お願いする紗枝。
2人は関係を持とうとするのですが・・。
明るく賢い紗枝、真面目で一途に苦悩している純。
2人を支える友人たち、すべてがリアルに感じられるほど演技が上手いので引き込まれます。
切なくて何度も泣けてしまうシーンも。
長い映画ですがアッという間に終わります。
孤独死も恐れているほど苦しんでいる純が切ない。
そんな思いも知らず、男子として好きになって告白する紗枝。
「もしかしたら・・彼女なら好きになれるのかも?」という思いもあり、交際することに。
紗枝にすれば、BLは本の中・ファンタジー世界の出来事であり、現実感はありませんでした。
けれどある日、純と恋人・誠のキスを見て衝撃を受ける紗枝。
驚きますよね・・好きな男子が知らないおじさんとキス!
ショックで紗枝は酷いことをいってしまいます。
バレてしまった・・と、動揺する純。
一方、学校ではゲイであることがバレてしまう純は周囲にからかわれます。
そして思いつめた純は・・窓から飛び降りてしまいます。
その後、学校では同性愛について真剣に話し合います。
そして皆、理解はあるけれど実際、目の前で見たら・・という感じ。
私も同性愛でも人や動物を傷つけなければ何でもOK!って思う方だけど、近くの人が・・となればその時は驚くと思います。
学校でも同じで理解はあるけれど、どう接したら良いのか・・と、いう事もあったり。
若いのでつい、面白くふざけてしまう事もあるでしょうね。
悩んでいる純が誠に質問するシーン。
「もしも、僕と奥さんが溺れていたら・・どっちを助ける?」
この時は答えられない誠でした。
純は自分の存在を考えていたんですよね。
学校で飛び降りた時、慌てて駆けつけた母に
「どうして僕を産んだの?」と、泣いて訴えてました。
普通に生きたい、と強く思ってる息子に何も言えない母。
死にたいくらい苦しんでいた事を、ファンタジーのような扱いをしてしまった、知らずに傷つけてしまった、と謝る紗枝。
そんな彼女に「僕にBL本貸して。君のことを理解したいから」と、言う純。
誠に別れを告げる純。
「妻を助けるよ。純と妻が溺れてたら・・」と、質問の答えを言う誠です。
純の退院後、描いた絵が受賞したから学校へ1度だけでもいいから来て欲しい、とお願いする紗枝。
学校に行くと、紗枝はマイクで自分の思いを生徒、教師たち全員に伝えるのでした。
「私はBLが好き」と。
そして同性愛で苦しんでいる純も好きだと。
ここで純が紗枝を抱きしめるシーンがるのですが良き♪
もう泣ける!
ラスト近くで大学生の彼の真実を知る純も切ない。同性愛だって死ぬ事はないのに・・。
そんな純を理解しようとしてる紗枝も優しい。
引っ越す、という純に遠距離を言い訳に別れを切り出す紗枝。
「私が好きなものは・・BLであって・・安藤くんだよ」
「僕が好きなものは・・男であって・・三浦さんだ」
最近、視聴した邦画の中でも1番好きですね。
神尾楓珠、山田杏奈の繊細な演技もすごく良かったです。
ネットフリックス視聴、アマゾンプライムビデオでは500円でした。
とにかく強くおすすめ!大人でも響く作品です。
最後まで読んでくださった方、ありがとうございました。
好き度は★5個(満点5個)