母性に目覚めたトランスジェンダーの主人公を草彅剛くんが演じます。
ネットフリックスで鑑賞、アマゾンプライムビデオでは有料です。
2020年制作・日本・G・124分
ジャンル ドラマ
監督 内田英治
脚本 内田英治
ネタバレ度40%(後半ネタバレ度90%)
あらすじ
新宿のニューハーフショークラブで働くトランスジェンダーの凪沙(草彅剛)は養育費をもらうため、遠い親戚の少女/一果(服部樹咲)を預かることに。
故郷/広島の母親にカミングアウトする事も出来ず、葛藤している凪沙。
母親/早織(水川あさみ)が育児放棄しているため、孤独で生きていた一果だった。
「子供は嫌いよ」と、冷たく告げる凪沙にも動じず、返事もしない暗い一果。
もっと知りたい方
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90%のネタバレ
最初、凪沙は一果に冷たいのですが基本、優しい人なので世話をするように。でも、部屋の掃除など厳しく言ってました。
まあ、一果としては叔父の家、と思ってたのが違うので驚いたのもありでしょうね。
一果は世間全てが敵!みたいな感じで暗く話さない子でした。
学校で凪沙の事を揶揄われても、動じないで男の子を殴るような女の子。
ある意味、孤独で生きてきたので普通の子よりも強そう。でも、彼女は自分の気持ちをコントロール出来ない時、腕を噛んでその痛みで誤魔化すような子です。
凪沙はショークラブでバレエを踊るのですが家に衣装が置いてあります。それを着て踊る一果。
バレエの経験があるようで近所のレッスンスタジオに通うように。
始めは体験入学だったのですが、学校が同じ友達が出来る一果。
お金持ちのりんは一果を誘い、一緒に遊んだり話すように。
撮影のバイトに一果を連れて行き、次第に一果も明るくなります。
バレエのレッスンで一果の才能を認め、育てたいと思う講師/美花(真飛聖)。
バレエのレッスンのため、お金が必要になる一果はりんに誘われ、怪しい個人撮影のバイトに挑みますが・・相手に椅子を投げつけてしまいます。
警察沙汰になり、凪沙は知らぬ間にバレエを習ってることに驚きます。
美花から才能がある、と言われ考える凪沙はバレエ費用のため、体を売る決意を。
しかし、怖くなり逃げ出します。
その後、りんは足の負傷でバレエを踊れなくなります。
ある日、起きると凪沙の長い髪がありません。バレエ費用のため、就職したと知り激怒する一果。
誰もお金のことを頼んでいない、という思いと迷惑をかけたくたい、と複雑な思いから怒り出したのでしょう。
凪沙は性転換手術のため、お金を貯めていましたが一果と接するうちに愛情が湧いてきて彼女を支えようとと決意。
突然、母/早織が現れ「迎えに来たよ」と一果に告げます。複雑な思いのまま・・バレエコンクールの日、りんからの電話で応援されます。
舞台で苦悩する一果は踊ることが出来ません。それを見た早織は舞台に上り一果を抱きしめます。
「私がいるよ」
一方、同じ日・・りんは親たちと屋上でパーティをしていて踊り始めます。
親たちは最初「上手ねえ」と、話していたのですが・・一瞬のうちにりんは屋上からジャンプしたまま落ちていきます。
自殺とは言えないかも?踊りに夢中で落ちた感じ。
(後で考えると・・やはり自殺だったと思います)
誰も自分を理解してくれない、ライバルでもあり、仲良しの一果はコンクール・・寂しい思いと親への不満はあったりんでしょう。
親、一果もりんの死を知るシーンはありませんでした。
一果が舞台で踊れず、早織に抱きしめられたのを見て決意する凪沙。タイに行き性転換手術を受けます。
一果は広島へ帰り、早織や家族と暮らしています。そこへ凪沙が来て
「あなたこんなとこにいたらダメなのよ。踊るのよ」告げます。
「私がこの子を守るの」と、激怒する早織。
凪沙は一果の手首の傷を見て、
「これじゃ衣装、着れないじゃないの」と、抱きしめます。
「一果、あんたはママが守るじゃけ」と、怒る早織。
「守ってないでしょう。一果の腕をこんなにして!バカ!」と、言い返す凪沙。
揉み合いになり、服が破けたため凪沙の膨らんだ胸が露に。
それを見て「バケモノ!」と、怒鳴る早織。
「一果、私は女になったの。だから、お母さんになれるのよ」と、一果に告げて帰る凪沙。
驚く家族、早織たち。
凪沙を追おうとする一果を止める早織。
その後、高校を卒業した一果は東京に行くと早織に告げます。卒業すれば良い、と言われたのです。
講師/美花から海外留学の書類を受け取る一果は東京へ。
凪沙の部屋に行くと・・悪臭で驚く一果。
凪沙はベッドに寝たきりで「早くおむつ、替えてちょうだい」と、ボランティアと間違えて言います。
凪沙は手術後、患部のケアを怠ったため出血も酷く感染症に?
顔を触り、一果だった・・と驚く凪沙。
一果は泣いて凪沙に謝罪します。
「私・・女になったのはいいけど・・サボったらこんなになっちゃった」
汚れた水槽に数日間、凪沙が苦しんでいた・・と映像でわかります。
目も見えない凪沙に食事の支度をして、海に行きたい、と凪沙の思いを叶える一果。
海に凪沙を連れて行く一果は病院へ行くように言いますが・・。
一果が外国のバレエ学校に奨学金で行ける事を喜ぶ凪沙は女の子の幻を見て、小学校の時に行った海の話をします。
「私・・なんでスクール水着じゃないの?」海パンを履いてたことを辛かった、と。
必死で「病院に行こうよ。しっかりして」と、凪沙に言う一果。
踊って欲しい、と言われ踊る一果。
そして・・涙を流して凪沙は亡くなります。
死を感じた一果は海へ・・。
亡くなったシーンは大げさでなくて自然な流れで素晴らしいシーンでした。
もうここは号泣です。
そして外国のコンクールに参加する一果。
「見てて・・」
公園で凪沙と踊るシーン、部屋で凪沙によしよししてもらうシーンが流れます。
感想
とにかく草彅くんの女性演技がしっとりとして良かったです。
何よりもこの脚本に夢中でしたね。まさか、最後で亡くなってしまうとは驚きました。
彼の一果を見る目、視線がとても優しくて愛がある感じ。母性を感じた凪沙になりきってると思います。
最初、子供は嫌い、と言ってた凪沙ですが子供を見る目は優しくて本当は子供が欲しい、好きなのだとわかります。
とても切ない物語で手術後、あんな事になってしまうのも衝撃でした。
何かで知ったのですが手術後は毎日、清潔を保つために必ずアフターケアをする必要があるようです。
感情移入してたので痛々しくて見るのも辛かったです。
生田斗真「彼らが本気で編むときは、」で同じような役を演じてました。でもこれは確か・・ハッピーエンドなので別物ですね。
凪沙の方がリアルな感じがします。
命懸けで手術をした、という事。苦悩してる様子が凪沙の方が辛く見えました。手術前も注射で体調が悪くなったり・・体にすごく負担をかけてると実感です。
最初、心を閉ざしていた一果がバレエを通じて次第に凪沙に心開き、親しくなるのも微笑ましかったですね。
だから、最後に病院に連れて行きたかった一果だと感じます。あんな形で別れるなんて辛すぎる。
でもラストは外国の舞台で堂々と踊る一果のシーンで終わります。
強くなれた・・と感じるラストです。
りんも可哀想なラストでした。一果がいればもっと違ったのかも。あのシーンも衝撃です。
すべての人におすすめ。
素晴らしいヒューマンドラマ映画です。
この映画で一果を演じた服部樹咲ちゃんは本当にバレエの実力がすごいようです。
しかも第44回日本アカデミー賞で新人賞を受賞しています。
最後まで読んでくださった方、ありがとうございました。
好き度は★5個(満点5個)