死と向かい合い、命の重さを感じる主人公たち。
あらすじ
緊張すると思うように話せない杏平を、先輩の佐相(原田泰造)は優しく見守ってくれる。
同僚の久保田ゆき(榮倉奈々)も親切だった。
高校時代、親友の山木信夫(染谷将太)は、松井新太郎(松坂桃李)から苛められ、自殺してしまう。
山木が亡くなり、杏平が虐めの標的に・・。
松井を恨み、殺したい・・と思う杏平だが・・殺すことは出来なかった。
そのトラウマで杏平は高校中退・・躁鬱病で通院していた。
仕事に慣れない杏平を気遣うゆき。
杏平をホテルに誘うゆきは思い切って、自分の苦しい事情を打ち明ける。
高校の時、同級生に乱暴され、妊娠してしまった。
親と一緒に相手の家に行くも、
「あの子から誘われた」と、ゆきの責任になってしまう。
ショックを受けるゆきを信じず、責める母親だった。
苦悩するゆきは自殺しようと、何度もリストカットする。
「今度こそ・・深く切って・・」と、決意した日、流産してしまう。
「あの時の命は私を救ってくれた・・」
子供が自分で流れてしまった・・と、号泣するゆき。
ゆきの事情を知り、言葉を失う杏平。
ある日、風俗の女性が男と遊びたいため、2人の幼子を置いて外出。
残された2人の子供は餓死。
その部屋の遺品整理中、子供の服を見て泣き出してしまうゆき。
その後、ゆきは行方不明となってしまう。
佐相と仕事する杏平。
「残された遺品は色々な事を語ってくれる・・死は1人で迎えるしかないのだけど・・生きるには・・誰かと繋がっていたい。誰もいなくなった部屋で、写真を撮っていたゆきの気持ちがわかる気がした・・」
実家で聞いて、介護施設で働くゆきを訪ねる杏平。
しかし、杏平を避けるゆき。
認知症の妻が施設で亡くなり、遺品整理を杏平に頼む夫。
妻は電話で夫の声を録音していた。そんな妻と知り、号泣する夫。
泣いてる男性を見て、何かを感じる2人。
ゆきに高校時代の過去を話す杏平。
苛められ、同級生を殺したい・・と、思った事を打ち明ける。
「命は繋がっている・・」
杏平の過去を聞いてつぶやくゆき。
「あのときの命・・くり返して言ってみて・・」と言う杏平。
「あの時の命・・あの時の命・・・」と、答えるゆき。
「プロレスの人になっちゃうよね・・?」
「元気ですかーー?」と、叫ぶ2人。
「もう1人じゃない・・初めてそう思えた・・」
杏平と抱き合い、実感するゆき。
施設
仕事中、子供を守り、事故で亡くなるゆき。
「私は彼と出会って・・もう1度生きようと思った」
遺品整理の仕事を続けている杏平。
佐相と一緒にゆきの遺品整理中、自分の写真が沢山あるノートをみつける。
杏平と仕事中、デジカメで撮り続けていたゆきだった。
ゆきを思いだし、むせび泣く杏平。
その後、ゆきが助けた少女と会う杏平。
「元気ですかー?」と、聞く。
微笑む少女。
感想
まず、字幕表示で観てください。
台詞がボソボソ系であり、聞き取りにくいです(^_^;)
大事な言葉を聞き逃してしまいそう。
遺品整理をするうち、「命」の重みを感じる杏平とゆきの物語です。
色々な事情があるとしても・・。
業者に遺品整理を頼む人は、亡くなった人にあまり、良い感情を持っていない気がします。
本当に大切に思っているのなら、家族が遺品整理するでしょうし。
でも、遺品の中に大切なものがある・・と、気が付くんですよね。
遺品を片付け、大事なものを見つけた時、杏平は家族に渡す努力をします。
すぐに受け取る人もいるけれど、拒否する人もいる。
亡くなった人に心寄せ、理解しようと優しい気持ちの杏平なのです。
そんな彼だから、傷ついているゆきも心開いたのだと思います。
もちろん、先輩の佐相も良い人です。
やっと、信頼出来る杏平と巡り会ったゆきなのに・・あんなラストとは。
「元気ですかーー?」っていう言葉にはびっくり。
2人で強く生きていくラストが希望でした。
原作の小説、アマゾンの評価はとても良いですね。
過去に辛い事があっても、簡単に死ぬことはできない。
生きていれば何か良い事もある。
生まれたからには死ぬまで生きていく・・寿命が来るまでは死ねない。
命は繋がっている・・そんな風に思えた作品でした。
好きレベル☆☆☆(満点5個)