元警官がヤクザの世界へ潜入捜査を命じられ、極道を欺きながら裏社会を生きる物語。
原作は深町秋生の小説「ヘルドッグス 地獄の犬たち」(角川文庫)
2022年制作・日本・138分・PG12
監督 原田眞人
原作 深町秋生
脚本 原田眞人
キャスト
兼高昭吾/出月梧郎(岡田准一)
室岡秀喜(坂口健太郎)
吉佐恵美裏(松岡茉優)
十朱義隆(MIYAVI)
土岐勉(北村一輝)
熊沢伸雄(吉原光夫)
大前田忠治(大場泰正)
衣笠典子(大竹しのぶ)
三神國也(金田哲)
お歯黒(吉田壮辰)
番犬(村上淳)他
ネタバレ度90%
ストーリー
11年前、新宿の交番/新任の巡査だった出月梧郎は、スーパーを襲撃した中国人3人を止めることが出来なかった。
銃を持っている、と歩き方で気がついたが先輩に信じてもらえず。
結果、スーパーの従業員4人が殺害される。(高校生3人含)
高校生の1人を好きだった出月は罪悪感で復讐に生きていた。
そんな出月に目をつけた警察は、関東最大のヤクザ・東鞘会への潜入を命じる。
出月梧郎は兼高昭吾として、ヤクザ組織のトップ・十朱義隆が持っている秘密のファイルを奪取することに。
警察はデータ分析により、兼高と98%相性の良い東鞘会のサイコパスなヤクザ・室岡秀喜とバディを組むように仕向ける。
こんな内容です。
この後、思い出した順にネタバレを書いていきます。
映画の冒頭、兼高はスーパーを襲った中国人を殺害しています。3人すべて殺害、復讐を果たしていた出月梧郎。
その後、警察の潜入捜査をするため、兼高昭吾と名前を変えます。
4年前、東鞘会は5代目組長が獄死。
後継者問題をめぐり、5代目実子率いる氏家ファミリーと、5代目会長代理・神津太一の神津ファミリーとの間に戦争が勃発。
抗争は元警察官僚の仲介で終結。
6代目は神津が襲名、神津は組員に正業と裏稼業の2つを抱えさせ、組織のマフィア化を進めていた。
公の場では護衛にも武器は携行させず結果、氏家ファミリーの暗殺部隊に処理される。
葬い合戦の総指揮を取るべく7代目会長は・・土岐、熊沢、大前田ではなくて十朱義隆となる。
十朱は会長秘書だった。
東鞘会、神津組と3次団体 三神組の混成部隊は通称ヘルドッグスと呼ぶ。
アフリカゾウの密猟など、違法取引のすべてに東鞘会が関わっている。
ヘルドッグスの一員となるため、タイに向かう兼高は相性の良い室岡に接近。
室岡の両親はヴェーダ天啓の会の幹部、大量殺人を謀って死刑になっている。
室岡に接近後、氏家ファミリー殲滅に功績を挙げて組織でのし上がれ、と指示される兼高。
1年後
室岡から兄貴と呼ばれるようになった兼高は東鞘会の仕事を淡々とこなす。
東鞘会の会長になった十朱義隆(MIYAVI)は、ボディガードとなった兼高昭吾を気に入る。
高級クラブで女スパイを見抜き、処理場へ向かう兼高、十朱たち。この時、普段は行く必要のない処理場へ十朱も行ってしまう。
女スパイは発信機を飲み込んでいたため、場所がバレてしまい敵が乱入。
銃撃戦となり、幹部の熊沢死亡。
一方、室岡はかつての仲間だった杏南と再会。
杏南の仲間ノバナとも会い、犯罪被害者遺族の会のメンバーらとも知り合う。
ノバナは現金書留が半年前から届くようになり、「殺人犯は罪を償いました」と、メモと20万円が入っていた、と話す。
差出人はイニシャルで、G.I。
2ヶ月ごとに20万円届き、ノバナの母は11年前のスーパー強盗事件で亡くなった、と知る室岡。
当時の事件被害者/3人の高校生、親たちにも同じように現金、メモが届いてたと言うノバナ。
当時、新宿に勤務してた巡査の名前は出月梧郎だった。
「いい話だ」と、言う室岡。
新宿を歩く兼高は交番を眺めていると・・警官から本名で呼ばれ、慌てて去る。
その時、目撃していた男がいた。
熊沢が亡くなり、会長秘書を三神でなく兼高を指名する十朱。自分が選ばれると思っていた三神は悔しい。
危険を承知で、処理場に行った十朱の責任を追求する東鞘会最高幹部の1人/土岐は「自覚が足りない」と十朱を殴る。
「ケジメをつける」と、小指を切断しようとする土岐。
「土岐はお前らを代表して、俺に落とし前をつける機会をくれた。感謝してる」と、言う十朱。
兼高を侮辱した三神を許せず、ボコボコに殴る室岡。
キレた室岡に「お前の憧れの警官、出月梧郎は兼高かもしれない」と、叫ぶ三神。
激怒する室岡は聞く耳を持たず、螺旋階段から三神を突き落として殺害。
モグラに刺され、殺害する室岡は追いかけてきた兼高に「兄貴はサツの犬か?」と、質問。
「違う。俺はお前と同じ・・地獄の犬だ」と、答える兼高。
警視庁の裏捜査エース/阿内将(酒向芳)と会う兼高は「生きてる限り、支援する家族がいる。4家族だ。引退はしない」と、告げる。
十朱のファイルを見せられ、本名は是安総、警視庁組織犯罪対策部の警察官と知る。
警視庁とFBIが組んで鍛錬し、東鞘会に投入した潜入捜査官。
「機密ファイルの中身は、私やFBIの上司とのメール、通話の記録だ」と言う阿内。
呆れる兼高に、「是安の任務は東鞘会を分断させ、力をそぎアメリカの極右議員への金の流れを断つこと」と言う阿内。
そこへ来た恵美裏も仲間だと驚く兼高。
タンザニアの自然保護区密猟対策チームにいた恵美裏は獣医学部を卒業後、ヤクザの象牙ロンダリングを潰すと決意。(親もヤクザ)
政府が「日本市場は象牙の密輸、違法取引に関与していない」と言い続けていたから。
3人同時に抹殺する計画と言う阿内。
土岐勉を注射で殺害する恵美裏は室岡が来たため、人質になってしまう。
8年間、この瞬間を待ち続けていたマッサージ師の衣笠典子(連絡係)が、東鞘会・三羽烏/大前田忠治(大場泰正)を殺害後、逃走。
(息子を殺されて復讐)
十朱から、「俺と秘密を共有したい。俺はアンダーカバーだった」と、告白される兼高。
東鞘会が警察に追われた時、三羽ガラスに自分の正体を打ち明け、本庁とFBIを同時に出し抜く方法を提示。
3人は即決で、十朱を神輿として担ぐことを決意。
「冷酷な国家より、血の通う兄弟ですか?」と、聞く兼高にその通り、と答える十朱。
兼高の存在がバレたのはこの瞬間、と言う十朱は俺と組もう、と言うが・・。
「アフリカゾウが好き」と答える兼高は拒否。
銃撃戦となるが2人とも頭は狙わず、最後は撃たれながらも寝技で十朱を殺害する兼高。
恵美裏が室岡に人質にされたと知り、向かう兼高は質問される。
「出月さんは極道潜入捜査官かい?」と聞く室岡。
「うん」と答える兼高。
「俺と一緒に組に戻ってくれますか?」
「組はもうない。会長も理事長も・・親父も死んだ・・お前がいたからここまで来れた」
恵美裏に銃を向ける室岡。兼高も銃を持っている。
「最後の質問・・俺とこの女とどっちが大事なんだよ!」
その瞬間、室岡を撃つ兼高。
「マッドドッグで始まって・・ヘルドッグで終わり・・」
自分の額に銃を向ける兼高を止める恵美裏。
1年前
バンコクのレストランで騒いでいた三神、室岡たち。
ウエイターの兼高は室岡と争い、気に入られていた。
完
指示通り、喧嘩して室岡に接近した兼高でした。
これで相性は良いのだから、気に入られて東鞘会に入った兼高でしょうね。
そして最後は殺したくはないけれど、仕方なかった・・という感じの兼高でした。本当は自分も死ぬつもり、でも恵美裏に止められたのです。
十朱もまさかのアンダーカバーとは驚き。
そして警察が嫌になり、潜入捜査した東鞘会の人間になったんですね。
見れば見るほど深い作品でした。
すごく面白かったです。
よく見るヤクザ映画ではなくて、インテリ風でビジネスも上手いという印象。
殺害後、処理班に死体の処理をさせる・・という話にはびっくり。
血が反応するはずのルミノールも不可能、という薬品を使って・・という。
すごい時代という感じ。これって実際にあるのでしょうね、きっと。
簡単に人を殺して埋める、処理する、という会話だけでも恐ろしいと思いました。
でも、兼高のストーリーは興味深かったです。
恵美裏もまさかの仲間だったとは。
東鞘会最高幹部の1人/土岐を演じた北村一輝さん。
普通のドラマでは優しく明るいパパを演じてるのに・・この作品では見事なヤクザで可笑しかったです。歩き方からすごいなーって。
お笑い芸人はんにゃの金田哲さんも、まさかの三神がクールでしたね。
そして何より、十朱を演じたMIYAVIがめちゃ素敵でした。
ちなみに映画館で観た方は理解するのが大変だったかと。理由は台詞がすごく聞き取りにくいのです。ネットフリックスは字幕入りなのでラッキーでした。
内容は間違いもあるかもしれません(^^;;
最後まで読んでくださった方、ありがとうございました。
好き度は★5個(満点5個)