9歳少女の魂の叫びを、ぜひ最後まで見届けてほしい。そう思わせてくれる作品でした。
2019年第69回ベルリン国際映画祭アルフレッド・バウアー賞など、世界各地で高い評価を得たドイツ映画です。
アマゾンプライムビデオで鑑賞です。
2019年制作/125分/ドイツ
原題または英題:Systemsprenger
配給:クレプスキュールフィルム
劇場公開日:2024年4月27日
監督 ノラ・フィングシャイト
脚本 ノラ・フィングシャイト
ネタバレ度:前半40%(後半は90%のネタバレを含みます)

あらすじ(ネタバレ度40%)
9歳の少女ベニー(ヘレナ・ゼンゲル)は、父親から受けた心の傷が原因で、怒りが爆発すると激しく攻撃的になってしまいます。
母親もベニーとの生活を続けることができず、グループホームや里親制度に頼る日々。しかし、どの施設でも彼女の激しい行動に周囲は音を上げてしまいます。
そんなある日、非暴力トレーナーのミヒャは、ベニーと3週間、森で生活するプログラムを提案します。自然の中で過ごすうちに、2人の距離は少しずつ縮まっていきます。
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感想・後半あらすじ(ネタバレ度90%)
ミヒャは非暴力トレーナーとして、ベニーの激しい感情を真正面から受け止め、冷静に向き合おうとする人物です。
「自分なら彼女を救えるかもしれない。」
そんな思いから森での生活を提案しますが、現実は想像以上に厳しいものでした。
やがてミヒャも限界を迎え、「距離感がわからない」とベニーから離れる決断をします。
母親と一緒に暮らしたい、甘えたい・・そんな思いを抱え続けてきたベニーは、ようやく他人であるミヒャを信頼できるようになった矢先でした。
その唯一の心の支えまで失ってしまう場面は、とても切なく胸が痛みます。
ベニーは感情のコントロールが極めて難しく、とくに顔を触られることが大きな引き金になります。
施設の男の子たちはそれを知りながら、わざと彼女の顔に触れて怒らせます。その姿を見ているだけでも胸が苦しくなりました。
まだ9歳の子どもです。自分一人で感情を抑えることは簡単ではありません。「周囲の大人たちに、もっとできることはなかったのだろうか」と考えながら、最後まで夢中で見てしまいました。
大人向けの薬を飲まされたり、海外の施設への移送が検討されたりと、ベニーを取り巻く状況は過酷です。
それでも施設の職員たちは、「精神病院だけには行かせたくない」という思いで何とか支えようとします。その姿にも心を打たれました。
母親にも幼い弟たちとの生活があります。母親を一方的に責めることはできませんが、自分たちの生活を守ることを優先せざるを得ず、結果としてベニーは一人ぼっちになってしまいます。
怒りに満ちたベニーの姿は本当に凄まじく、見るのがつらいと感じる人もいるかもしれません。
それでも、この少女の行く末が気になり、きっと最後まで見届けたくなる作品です。
ラストは観る人に委ねられる終わり方でした。
個人的には、ベニーの未来に少しでも希望が見える結末を期待していたので、その点だけは少し残念でした。
児童福祉や心の傷、愛情とは何かを深く考えさせられる一本です。
システム・クラッシャーとは、ケアホームからケアホームへ、里親から里親へ、あまりに乱暴で行く先々で問題を起こして、施設を転々とする制御不能で攻撃的な子供のことだそうです。
重いテーマではありますが、多くの人に一度は見てほしい、おすすめの作品です。
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