YouTuber絶賛!衝撃のラスト、鬱になりそうな重苦しい作品であり後味最悪!一度見たら忘れられない物語となるでしょう。
メンタル弱い人は閲覧注意ですがそれでも観て欲しい素晴らしい作品です。
アマゾンプライムビデオで鑑賞。
2010年制作・カナダ・131分・PG12
原題:Incendies
原作はレバノン生まれでカナダ・ケベック州に移住した劇作家ワジディ・ムアッドの戯曲「焼け焦げるたましい」の映画化。
ネタバレ度40%(後半ネタバレ度90%)
あらすじ
ケベック州に住む双子の姉弟ジャンヌ、シモンは亡き母/ナワル・マルワン(ルブナ・アザバル)の遺言を公証人ルベルから聞いて驚く。
自分の遺体は裸にして世間に顔を見せないように伏せて埋めて欲しい・・と母の言葉。
父は内戦で亡くなったはずなのに、母の残した手紙には父と兄を探すように書いてあった。父を探す為、中東にあるナワルの故郷へ向かうジャンヌは1970年代の宗教対立で彼女が体験した過去を知る。
もっと知りたい方
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90%のネタバレ感想
(予備知識なく観た方が衝撃も大きくおすすめです)
ジャンヌはルベルから、父を探して手紙を渡すよう言われます。そしてシモンは兄を探して手紙を渡すようにと。
これを拒否するシモンですがジャンヌが宥めます。
そしてジャンヌは父を探す旅へ。
ナワルの故郷に着いて、母のことを聞こうとしますが・・言葉が通じないだけではなく、周囲の人たちの冷たい態度に驚きます。
ナワルの家、つまりマルワン家はルールを破った、ということで周囲から避けられています。
理由はデレッサの難民/恋人の子を妊娠、2人で逃げようとしたナワルでしたが・・兄たちに見つかり、恋人はその場で射殺されます。
目の前で愛する男性を殺され、発狂寸前のナワルは祖母に激しく怒られます。
しきたりを破ったという事で、ナワルも兄に殺されそうになりますが祖母が止めたのでした。
ナワルは祖母から、出産後は叔父の家に行って知識を身につけ、自立するよう言われます。
生まれた子供を泣く泣く手放すナワル。子供の右足の踵に小さい黒子のような刺青を3つ入れる祖母。
これで成長してもいつか、子供を探す時に目印になります。
赤ちゃんはその後、孤児院へ連れて行かれます。
ナワルは叔父の家で裕福に暮らし、大学に通いながら生活していましたが内戦が始まります。
大学も閉鎖となり、息子を探す旅に出ます。
孤児院を探し回るナワルですが・・戦争で孤児院は崩壊。子供ともう会えない・・と苦悩します。
女性が1人でこの地域、この時期に移動するのはとても危険なことです。
バスの移動中、幼子を連れた女性を見ていたナワル・・その瞬間、武装派に襲われます。
幼子だけでも・・と助けようとするナワルですが目の前で射殺され、バスはガソリンをかけられ燃えてしまいます。
ナワルは「私はキリスト教よ」と叫び、十字架を見せて助かったのでした。
物語はジャンヌが父を探し、ナワルの故郷を歩き回ります。そして若きナワルの辛い日々も流れます。
ここで流れる音楽も重く暗いです。
多くの建物も崩壊、血の海の中を息子を探したナワルは「失うものはない」と、社会民族党への怒りだけが生きる理由に。
現実を思い知った彼女の望みは「敵にも同じように思い知らせること」
その後、彼女はある男の子供の家庭教師になります。子供にフランス語を教えながら、家の状況を把握するナワル。
仲間から連絡をもらい、男を射殺するナワルはその場で捕まり監獄へ入れられます。
監獄では悲惨な状況が続き、苦悩からナワルは歌って苦しみを紛らわせようとします。
それで「歌う女、72番」と呼ばれるように。
一方、ジャンヌは父を探して母がいたという監獄に来ます。母は15年間、監獄生活・・13年間を監視していた男性と会います。
監獄にいるナワルに男たちはあらゆる体罰を加えますが、彼女は屈することなく耐えた、と言います。
怒った連中は、アブ・タレクという監獄の拷問人を送り・・ナワルはレイプされ、身も心も打ち砕かれます。
収容番号72番のナワルはその後、妊娠しますが・・大きいお腹を自分で殴り、流産させようとしますが監獄で出産します。
話を聞いて覚悟していたはずのジャンヌも母の苦痛を知り涙を流します。
その時、ナワルの出産を手伝ってくれた女性マイカと会うジャンヌ。
入院中のマイカは成長したジャンヌを見て喜びます。出産を手伝い、その後のナワルが監獄から出るまで赤ちゃんを育てたからです。
出産したのは双子・・男の子と女の子です。
ここまで読んですべてを理解した方は多いと思います。けれど、この物語はもっと驚くことがあるのです。
ジャンヌは携帯でシモンに母のことを説明、帰ってくるように言われるのですが。
姉ジャンヌを探しに来たシモンは病院でマイカと会います。
この時、マイカから出産の事を聞いて生まれたのは「双子」つまり・・自分たちのことだと気づきます。
ジャンヌ、シモンは母/ナワルが監獄で生んだ子は自分たち、と驚きます。
自分たちの父親は監獄の拷問人であり、母をレイプした男・・と衝撃を受けます。
このシーンも言葉が通じず、通訳の話を聞いて理解する2人・・という流れ。
もどかしさが物語の演出として緊張感が溢れます。
ジャンヌとシモンは周囲の協力を得て、母が生んだ子はニハドという男子と知りますが・・孤児院は破壊され探すのは困難に。
危険な方法ですが、孤児院を破壊した男に会いに行きます。
戦闘を指揮する男は記憶力が抜群であり、40年前のことも覚えているはず、と。
兄のニハドを探したい、と言うシモンに男は教えてくれます。
孤児院を破壊後、子供達を育て兵士にした。ニハドは優秀な狙撃者だと。そして敵に捕まった彼は監獄へ送られたのです。
「君の兄は拷問人になって名前を変えた・・その名は・・アブ・タレク。ニハド・ド・メはアブ・タレクだ」
彼は現在、新たな名前ニハドでカナダに住んでいると知ります。
ジャンヌ、シモンは兄/ニハド・ハルマニに会いに行き、無言でナワルの手紙を渡します。
ニハド・ハルマニは、ナワルの手紙「父への手紙」を読み、
「私は気がついたのに・・私はあなたの72番、手紙を渡したのは私たちの子・・差出人 娼婦72番」
驚き、ジャンヌたちを探そうとしますがいません。
続いて2通目の手紙「これは息子へ・・拷問人ではなく・・」と読みます。
「あなたは私を知らない・・あなたを探し続け・・あなたを愛してる。あなたの母 収容番号72番」
足の踵の刺青であなたを見つけた、と。
公証人ルベルから、新たなナワルの手紙を受け取るジャンヌ、シモン。
約束は守られた・・と安堵の内容が書いてありました。
母の凄惨な人生がやっと終わる・・と涙を流すジャンヌたち。
亡くなる前、ジャンヌと一緒にプールに来たナワルは立っている男性の足を見て驚きます。男性の右の踵には黒い刺青があったからです。
男性の顔をさりげなく見て確信するナワル。
男は監獄の拷問人/ニハドであり、自分が生んで探し続けた愛する息子だったのです。
完
衝撃が大きかった映画でした。
色々と観ているけれど、ここまで暗く重い内容で胸にズシンと響くのはあまりありません。これはずっと心に残ってる感じですね。
正直、ネタバレを最後まで書かない方が良いのでは?と思ったんですけど。
私自身がネタバレを読みたい方なので・・書きました。読む、読まないは個人の自由ですし。
戦争とか宗教とか・・日本に住んでいるとあまり実感がわきません。でも世界ではこのような感じで、人生が大きく変わってしまう人が多いのでしょう、と実感した映画です。
本当にすごい作品でした。でも観て良かったです。
映像としてグロシーンなどはほぼありません。普通に見れると思います。
最後まで読んでくださった方、ありがとうございました。
好き度は★5個(満点5個)