高齢者は無料で住民票、医師の診断書も必要なく安楽死を選べる日本を描いてます。プライムビデオで視聴。
2022年制作・日本、フランス、フィリピン、カタール合作・G・112分
監督 早川千絵
脚本 早川千絵
ネタバレ度90%
あらすじ
全国で高齢者が襲撃される事件が多発してる時代、75歳以上の人に死を選ぶ権利を認め、支援する制度「プラン75」が国会で可決。世界からも注目されていた。
夫と死別、78歳の角谷ミチ(倍賞千恵子)はホテルの清掃員として働いていた。
友人とカラオケに行ったり、話したりするのが楽しみだったある日、高齢を理由に解雇されてしまう。
新たな仕事を探すも見つからず、夜間の交通誘導の仕事をすることに。
友人の孤独死をきっかけに「プラン75」の申請をするミチ。
感想
結論から書くとミチは最後に生きる選択します。
夫、友人と失い、仕事も解雇され、相談する相手もいない。住む家も失いそうになり途方に暮れるミチでした。
本当は申請なんてしたくなかったミチだと思います。けれど生きにくい状態になり・・という展開。
孤独な老人の寂しさも描いていて観ていて切なかったです。もしかすると私の将来もあんな感じなのかな、とか。
「プラン75」は住民票、医師の診断も必要なく、本人の意思だけで申請出来ます。
そして支援金として10万円が出るので最後の旅行に使用する人、葬式代にする人などと説明を受けるミチ。
マリア(ステファニー・アリアン)は娘の心臓手術費を稼ぐため、介護職員から高給の「プラン75」関連施設に転職。遺品整理の仕事をします。
彼女は亡くなった人の遺品を整理しながら複雑な心境に。
一方、市役所の「プラン75」申請窓口で働く岡部ヒロム(磯村勇斗)、成宮瑤子(河合優実)は、死を選択した人たちに最後までサポートします。
内容としては15分間、電話で話し相手になったり(会ってはいけない)、質問に答えたり、最後まで世話をします。
たまに「プラン75」を申請した後、不安になって中止する人もいるようです。
その時はサポート担当の人たちが「気持ちよく旅立てるよう寄り添う」というマニュアルがありました。
成宮は申請してきたミチと電話で話す日が続き、頼まれ会うことに。
規則では会ってはいけないのですが、ミチと実際に会って食事したりボーリングする成宮は「プラン75」に疑問を感じ始めます。
最後の日、成宮がミチに電話で大切なことを説明。
「・・万が一、お気持ちが変わられたら・・いつでも中止できます」
この時、成宮は止めたかったのです、ミチを。でも言葉にはしていません。
成宮を演じる河合優実の演技が素晴らしかったです。泣きそうで泣かない、必死で耐えながらミチに仕事として説明するシーン。
ここは泣いてしまいました。
岡部ヒロムも同じ仕事をしていて、自分の叔父が申請に来て驚きますが・・担当者としては他の者と代わります。
けれど叔父のことが気になり当日、車で送る岡部の苦悩を感じます。
叔父といっても付き合いのない親戚、けれどこの「プラン75」で死なせて良いのか?と葛藤する岡部。
結局、叔父と別れた後に慌てて追いかけるのですが・・間に合わず。叔父は「プラン75」で亡くなります。
私が思うに叔父さんを合同火葬ではなくて、自分で葬式をするつもりで車に乗せたのだと。
これもとても切なかったです。
ミチが「プラン75」の処置を受けるシーンは緊張でしたが・・眠ってる間になら・・という雰囲気でした。
隣のベッドには岡部の叔父がいて・・あのシーンは複雑ですね。
賛否両論あると思いますが・・私は実際にあれば良いと思います。理由は嫌なら選択しない、死にたい人は選択できるから。
持病がある身としてやはり、老後1人になった時は不安だからです。
色々な人たちの葛藤、苦悩を描いてますが最後、ミチは明るい未来を予想、1人で生きるを選択して良かったと思います。
ミチはどこも悪い所はなくて、病院通いもしていませんでしたから。まだ、1人で生きていける人だと思うからです。
ミチを演じた倍賞千恵子さん、本当に素晴らしい演技で引き込まれます。
もっと色々な作品に出て欲しいですね。
暗い内容ですが・・とにかく素晴らしい映画ですべての人におすすめです。
最後まで読んでくださった方、ありがとうございました。
好き度は★4個(満点5個)