この世に未練が残る幽霊の切ない物語。突然の不幸で愛する妻と離れた夫の想いを描いてます。ホラーではないですね。
アマゾンプライムビデオで鑑賞。
2017年制作・アメリカ・G・92分
配給 パルコ
監督 デビット・ロウリー
脚本 デビット・ロウリー
ジャンル ドラマ、恋愛、ファンタジー
原題 A Ghost Story
ネタバレ度40%(後半ネタバレ度90%)
あらすじ
田舎の一軒家で幸せに暮らす若い夫婦。ある日、夫Cが事故で死亡。
突然の出来事で悲しむ妻Mは病院で夫の遺体を確認、シーツを被せる。
しかし、シーツを被せられた夫Cは家に戻って来てしまう。
妻Mには夫Cの霊は見えないが・・。
もっと知りたい方
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90%のネタバレ感想
最後まで妻には夫の霊は見えませんでした。
最初、シーツを被せられた夫は妻に会いたくて・・その想いで家に戻って来ます。
自分の死を受け入れられない、という夫の気持ちを描いています。
つまり、この映画は「死者からの目線」ですべてを物語っています。これを理解していないと、すべてが「なに?」と、意味がわからないでしょう。
幽霊はオバQのようにシーツを被り、目の部分だけがある状態です。
台詞はありません。
突然、死んでしまった本人からすれば、現実を受け入れるのは時間もかかるのでしょう。
愛する妻に触りたい、触れたいと思って手を伸ばしても・・触れることも出来ない。
そんなもどかしい時間の中、向かいの家にも同じような女性の幽霊がいることを発見します。
彼女も彼と同じように、家に残りながら愛する存在を待っているようでした。
時間の流れは早い。
それだけ「幽霊」は長い月日を「愛する妻」と共に暮らした家に残ることで、「何か」を待ってるようでした。
妻に気がついて欲しいのか、それとも妻が死んだ瞬間を待っているのか・・わかりませんでした。
妻を見守りたい、と想いもありで彷徨っています。
妻が前に進むために他の男性といる時、幽霊の夫が激怒するのが驚きでした。
幽霊の時間は止まっている、けれど生きてる妻の時間は進んでいます。
幽霊が暴れると、それは生きてる人間にとってはポルターガイストになってるのもすごいです。
そうしているうち、妻は家を出て行きます。
愛する夫との思い出の家、1人になっては辛いだけですよね。
そして、幽霊(夫)にとって妻との大切な家は他の人が借りることに。
幽霊は他の人には住んで欲しくないようでした。だから、食器を割ったり、物を投げたりして住人を脅かします。
当然、新しい住人たちは家を出て行きます。
この現象は生きてる人間にはポルターガイストなのです。
つまり、ポルターガイストって幽霊が何かを怒ってたり、追い出そうとしてるのかも。
心霊好きな私には、このシーンはとても興味深かったです。
向かいの家にいた女性の幽霊(花柄のシーツ)は家が取り壊された時、消えてしまいます。
「もう来ないみたい」と。
彼女もずっと何かを待っていたのが切ない。
そして、この家にいた夫の幽霊も愛する妻の存在を忘れてるように見えます。
これ、いわゆる地縛霊になっていたのかもしれません。
最初は目的があり、この世に残っていたけれど、次第に目的も忘れ、何となくいるだけの存在に。そんな気もします。
最後、家の中にメモを見つけた幽霊はそれを読んで消えてしまいます。
このメモ、なんて書いてあるのかわからず。
想像力を働かせて観る作品ですね。
彼は不思議な存在であり、台詞も少ないので退屈になりそうですが、最後まで見てしまう悲しい映画でした。
じっくりと見て欲しいオススメの映画です。
最後まで読んでくださった方、ありがとうございました。
好き度は★4個(満点5個)