原作は在宅医療のスペシャリスト・長尾和宏のベストセラーです。誰もが避けられない死を映像にすると正直、きつかったですね。アマゾンプライムビデオで鑑賞です。
2021年制作・日本・G・112分
監督 高橋伴明
脚本 高橋伴明
原作 長尾和宏
ネタバレ度40%(後半ネタバレ度90%)
ストーリー
智美(坂井真紀)は肺ガン患者の父/敏夫(下元史朗)のため、在宅医師の河田仁(柄本裕)を選ぶが・・最後は苦しませてしまった事で自分を責めていた。
そんな智美に衝撃を受ける河田。
もっと知りたい方
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90%のネタバレ感想
前半、坂井真紀が演じる智美が父のため、必死で看病する姿を描いてます。夫も手伝ってくれてとても優しい2人です。
「痛くない在宅医」を選んだ智美です。
父/敏夫は家にいたい、薬は嫌、という感じの頑固なお父さんですね。
娘としては父の思うように・・と一生懸命に尽くしています。
これがすごい事で私には不可能、と思ってしまいました。
在宅ということは食べることだけでなく、痛みのコントロールが必要です。
苦しむ父親を見て河田医師の指示通りに・・と思う智美ですが難しい。
薬を与える瞬間は今なの?
どっちの薬を与えれば?
今、与えたけれどまだ苦しんでいる。すぐに2個目を与えても良い?
色々、わからない事がありすぎます。
河田医師は真面目で優しい人ですが・・正直、医者としての経験は足りなかった。
それは先輩医師/長野(奥田瑛二)を見てハッキリと感じます。あの長野先生なら・・と思ってしまいます。
前半、智美が父の世話をするシーンはとてもきつい。苦しむ父親に戸惑う娘・・これがずっと続きます。
そして苦しんで薬を与えたけれど・・死んでしまったのです。
あの状況なら誰もが後悔してしまう・・という感じ。自分を激しく責める智美。
智美の言葉に衝撃を受けた河田は先輩/長野に相談。そして自分の勘違いに気がつきます。
智美も驚いたでしょうけれど、ラスト近くの河田の姿を見て頭を下げていました。
思いは通じるんですね。
医師として長野の看取りを見て、何かを感じた河田は次第に変化します。
長野の言葉で、点滴で体が水分でいっぱいになった状態は溺れ死ぬような状況・・と。
枯れるように死ぬのが自然、でも入院してる場合はやはり、点滴やその他の治療をすることになる。
難しいですよね。
私は猫をずっと飼っていて今までに6匹を看取りました。その時、どうすれば良いのか、これで良いのか・・本当に悩みました。
点滴をすれば・・でもすれば自然には死ねない。苦しみを長引かせるだけ・・とも。
物凄く葛藤も多かったし、今も大きな後悔があります。
どこまで治療をすれば良いのか、人間の場合は入院させたらもう、治療なしとはいかないのでしょう。
在宅か、病院か・・悩む人も多いと思います。
人として優しい河田なので・・良い医師になったというラストでした。
後半は患者として宇崎竜童が演じています。後半の展開は明るく「これなら在宅も良いな」と思える内容でした。
前半がいきなりキツい内容だったので驚いたのですけれど、後半の患者に対する医師との関係を見て安堵した作品でした。
在宅医療に関しては色々、難しいこともあるのだ、と驚いたこともあり、見て良かった映画でした。
私も「痛くない死に方」が良いけれどやはり、病院で死ぬのが周囲に迷惑もかけないから良いと感じます。
色々な意味でとても良い作品だと思いました。でも見るのはかなりキツい内容でもあります。
(苦しむ敏夫の姿です)
メンタルが安定してる時におすすめ。
最後まで読んでくださった方、ありがとうございました。
好き度は★3個(満点5個)