母親の世話に追い込まれた娘が自殺。残された母の苦しくも切ない物語。
ネットフリックスで鑑賞です。
2023年制作・アルゼンチン・100分
監督 アナイ・ベルネリ
脚本 アナイ・ベルネリ、ガブリエル・ララルデ
原題 Elena sabe
ジャンル ドラマ
配信 Netflix
ネタバレ度40%(後半ネタバレ度90%)
あらすじ
65歳のエレナはパーキンソン病で娘/リタに世話をしてもらって生活していた。
偏屈な母に涙を流すリタはある日、教会で自殺してしまう。
もっと知りたい方
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90%のネタバレ感想
エレナは末期のパーキンソンと書いてありましたけど、自分で何とか歩けます。
美容院で髪を染めたエレナはリタが迎えに来るのを待っていたのですが・・彼女は自殺してしまいます。
それを信じられず、警察に他殺だと文句を言うエレナです。
警察や友人、職場でも娘のことを聞いてまわり・・彼女の真実を探る母の思いが切なかったです。
途中、回想シーンもあり、昔から頑固な母親にウンザリしていた娘の苦悩もわかります。
(この回想ではエレナ役よりも、リタ役の方が老けた印象の女優で戸惑いました)
リタが何をしても反対するし、恋人のことも皮肉を言う母親には私でも嫌になってしまいそう。
何故、娘の真面目な恋人/パブロを悪く言うのか・・否定するのかなあ。
親なら子供の幸せを願うと思うのですけれど。
リタの死後、パブロはエレナを心配して世話をしに来てくれます。それを嫌がるエレナ。
リタが母親に拒絶されても、エレナの世話をしているのがすごいと思いました。
娘の自殺を受け入れることが出来ないのはきっと、どんな親でも同じだと思います。
エレナは体が自由に動かなくても生きたい、と強い意思がある女性。
リタの亡き後、恋人/パブロから話を聞いて驚くエレナ。
結婚するつもりの2人でしたが、リタから別れを告げられていたのです。
エレナ家の近くに部屋を準備しようともリタはこれを拒否。
理由は母親の存在です。恋人との結婚を反対されたリタには辛い選択だったと思います。
誠実な銀行員パブロで反対する理由も特にないのに。
しかもエレナは「リタは私を施設に追いやり、この家を奪おうとしてた」と言い出します。
リタの苦悩も知らず、見てて苛立ちましたね。
そして周囲の人たちの話を聞いて驚くエレナ。
医師からリタはうつ病で薬を飲んでいたことを知ります。
この母親の世話をする娘なら、うつ病になっても不思議じゃないですね。当然、追い込まれて責任を感じ、疲れ果てたのだと思いました。
リタはエレナのパーキンソンは重い、と告げられています。症状も次第に悪化しています。
医師が限界を感じているリタに言った言葉が印象的でした。
「エレナはあなたを求めてる。子供時代のあなたと同様に・・自分の母親の母親になるんだ。これまでのエレナは消えていく。だんだん赤ん坊に戻って行く」
この言葉の意味を理解出来ない様子のリタでした。
パーキンソン病は人にもよるでしょうけれど、認知症にもなります。
薬を飲んでも体が動けなくなる本当に怖い病気です。
(叔母がこの病気で認知症、寝たきりで施設にいます)
エレナは医師から、リタのうつ病の話を聞いても信じられません。
「あの子は仕事に行ってた。雄牛のように強い」って。
体が丈夫でも・・人間は精神が崩れる時があるんですよね。
エレナは毒親というわけでもなくて、ただ偏屈!って感じの女性です。素直に世話を受け入れないエレナ相手は相当、疲れると思います。
そして最後にはリタ友人の家に行き、自分のせいで娘は自殺した、と考えるエレナで終わります。
すごくモヤモヤが残る映画でした。
最後まで読んでくださった方、ありがとうございました。
好き度は★3個(満点5個)