原作は「告白」「贖罪」「白ゆき姫殺人事件」の湊かなえ。娘を愛せない母と母に愛されたい娘を描いた重苦しい作品。観終わったあとのモヤモヤが残ります。
ネットフリックス鑑賞です。アマゾンプライムビデオでは有料。
2022年制作・日本・115分・G
監督 廣木隆一
脚本 掘泉杏
原作 湊かなえ
ネタバレ度30%(後半ネタバレ度90%)
ストーリー
女子高校生が自殺・・自殺か事故か・・真相は謎。
清佳(永野芽郁)は自分と母のことを思い出す。
もっと知りたい方
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90%のネタバレ感想
ややこしい母娘の関係を重苦しく描いた物語です。
2人の視点から物語は進みますが食い違いも多いです。
ルミ子(戸田恵梨香)は実母(大地真央)と親友のように親しい関係の親子です。
お嬢様のルミ子は世間知らずはともかく、すべてが母の言いなりというか、母が望むなら命も差し出しても良い!と思うほどに愛してます。
この重たい愛情を受け入れている実母ですね。そして母がいつも気に入るように行動するルミ子が理解出来ませんでした。
この映画、どこにも感情移入できる部分はありません。
母が気に入った絵を描いた哲史と結婚したルミ子。これも母が彼の描いた絵を気に入り・・という感じ。
自分では何も決められず、母が良いと言うのなら結婚しよう、って感じの女性です。
その後、ルミ子は妊娠、実母も大喜びで出産するのですが・・彼女は生まれて来た娘よりもいつも実母を優先させています。
普通、子供が生まれたら親よりも子供を優先させるものでは?それがルミ子の場合、実母が一番大切な存在なのです。
哲史との関係はルーティンという感じで型にハマってる感じの夫婦でしたが・・後半で浮気してることが判明します。
哲史にすれば、娘/清佳と妻との関係がギクシャクしてるのが耐えられず・・みたいなことを言ってましたね。
清佳が幼稚園時代、祖母(大地真央)の手作りのバッグより、キャラクター物の方が好き、と誤解したルミ子が娘にそれとなく注意するシーンは怖かったですね。
娘におばあちゃんを大切にしなさい、と警告してるように見えます。
それを察してすぐにおばあちゃん・・と甘える清佳が哀れでした。幼いのに大人の態度で自分を変えているなんて。
ある夜、嵐で家の中に大木が倒れ込んで来て実母(大地真央)と清佳が下敷きになってしまいます。
慌てたルミ子は実母を助けようと手を差し出しますが・・。
「私より、娘を助けなさい」と叫ぶ実母。
普通、2人を助けられないとしてもこの場合、母も大切であっても幼い娘を先に助けると思うのですけど。
それがルミ子の場合、娘は放置、実母を助けることしか考えていませんでした。
それを知り、実母は「清佳を助けなさい」と、自らハサミで首を刺して自殺してしまいます。
混乱したルミ子は清佳を助け、逃げ出します。
大人なり、この時の記憶を失っている清佳、ルミ子。
悲しい記憶を封印したルミ子でしょうね。
その後、田舎にある哲史の家に同居しているルミ子、清佳たち。
義母(高畑淳子)はとても雑であり、実母とは正反対のタイプの人間です。
それでもルミ子は夫のためにも家を守り、家事もすべてこなして頑張っています。
それを見ても不満で嫁のルミ子を激怒する義母。
このシーン、こんな義母なら家を出るわーー普通!って思うほどに高畑淳子の演技が凄かったです。
当然、哲史は何も言いません。母親の好きなようにさせている情けない夫。
義母には娘/律子(山下リオ)がいるのですが・・ルミ子からお金を借りようとしたり・・利用するだけ要領の良いタイプの女の子。
男が出来て家を出る手伝いをするルミ子ですが・・義母からもちろん激怒されます。
そして娘が家を出てしまい・・がっくり状態の義母。娘を愛していたのでしょうね。寂しそうでした。
そんな義母と母の姿を見てルミ子を支えようとする清佳です。
ルミ子は高校生になった清佳にも冷たく、娘を愛している母に見えません。
それでも母に愛されたい、と家事を手伝ったり、義母に怒られた時は言い返したりする清佳。
そんな娘を見ても感動もせず、冷たい態度のルミ子ですね。この演技を戸田恵梨香がとても上手に演じてます。
学校から戻り、掃除を手伝おうとする清佳に
「触らないで。あんたの手は生温かくてべたべたして気持ち悪いのよ」と拒否するルミ子。
その後、泣きながら必死に手を洗う清佳でした。ルミ子が義母に文句を言われ、守ろうと言い返したり母の味方をしようとする娘です。それを・・あんな母親はいやですね。
本当に意地悪な戸田恵梨香!って思うほどです。それだけ演技に引き込まれます。
ある日、外で父親を目撃・・尾行する清佳は昔の家で不倫してることに驚きます。
その時、父親/哲史の言い分は母ルミ子に冷たくされてるのに・・それでも愛されようと頑張る娘を見たくない、と言うのです。
母親に愛されていない、と感じたら諦めそうなものだけど・・清佳は諦めず、母に好かれようと努力します。
その努力は報われないのに・・仁美と浮気している父に意見する清佳です。
父に正々堂々と正論をぶつける清佳に仁美は事実を告げます。
ルミ子は故意に娘から目を逸らしている、と。
ルミ子の実母は孫を守るために自殺した・・と嵐の夜のことを説明。
幼いため、知らなかった祖母の自殺を知り驚愕する清佳。
それを知り、ルミ子に泣いて謝罪します。
「愛してる・・」と言いながら清佳の首を締めるルミ子。
「これじゃダメだ・・」と、ルミ子から逃げる清佳。
このシーン、清佳からの視点、ルミ子からの視点を描いてます。
ルミ子の記憶では「娘を抱きしめている」のです。
義母の叫び声で慌てて庭に出るルミ子は清佳が自殺未遂したことを知ります。
病院で治療を受け助かる清佳。
教会の懺悔室で娘の回復を願っていた、と告白するルミ子です。
「大切な母が命をかけて守ったその命が・・輝きを取り戻し美しく咲き誇りますようにと・・」
その後、自分の間違いに気が付くルミ子です。
娘の回復を願うより、「母が守った命」を大切にしたい気持ちが大きいと感じました。
「女には2種類あります。母と娘・・いつまでも誰かの娘のままでいたい・・そういう女性もいるんです」
律子たちの店で妊娠を告げる清佳です。(中谷亨の子)
(この時、結婚してた様子)
義母は認知症になり嫁/ルミ子を娘、と言ってます。それを介護するルミ子ですね。
ルミ子に携帯で妊娠を報告する清佳。
「怖がらなくてもいいのよ。わたしたちの命を未来に繋げてくれてありがとう」
このセリフはルミ子母(大地真央)が妊娠した時に言ってくれた言葉。
これを素直な気持ちで言ったのか?それとも?
ルミ子は母に愛されて育ったのに・・なぜ、娘/清佳を愛することが出来なかったのか・・私には理解出来ませんでした。
母の愛が重すぎる、ということもなく自分が母に愛されたいと願い続けたルミ子。(執着)なぜ、あんな風になってしまったのか。
よくわからない映画でした。湊かなえらしい作品な気もします。
最後までルミ子には母性はなかったけれど、義母は娘が家出し、がっくりしたので母性はあったと思います。
最後まで読んでくださった方、ありがとうございました。
好き度は★3個(満点5個)